これまでの4章で、モデルカー趣味の全体像と愉しみ方が見えてきた頃でしょう。そろそろ、あなた自身がモデルカーとどう接していけばよいか、具体的な手法を知りたくなったはずです。
そこで第5章では、モデルカー作品に関する情報ではなく、モデルカーを取り巻く周辺環境について紐解き、コレクターとしての第一歩を後押ししていきます。
Artwork Koenig Competition 1988
作品紹介 ケーニッヒ・コンペティション 1988年
Description
Koenig Specials (König in German) is a tuning company from Munich founded in 1974 by Willy Koenig, who was an experienced racer, and continued by his son Walter. The model car is their
representative Koenig Competition with mid-mounted twin turbocharged boxer-V12 engine which is based on Ferrari Testarossa. Extreme exterior modification was
done by Vittorio Strosek to remove side streaks, replace retractable head lights by fixed lights behind clear glass, widen the body for bigger tires transmitting huge power to the road and equip
the F40 style's big rear spoiler. Its "Evolution" version 1992 output 1000ps, which at the time was superior to all supersports intended for road use. Creator of the model
car is Davis & Giovanni Hong Kong who has been producing models with the highest accuracy and the superb quality of finishing.
作品解説
ケーニッヒ・スペシャルズは、 数々のレースで名を馳せたヴィリー・ケーニッヒが1974年にドイツ・ミュンヘンで設立したチューニング・メーカーで、息子のヴォルターが継承していま
す。チューニングやドレスアップ・パーツだけでなく、自社の名を冠するコンプリート・カーも製作しており、その代表作がこのケーニッヒ・コンペティション です。フェラーリ・テスタロッサをベース
に、ツインターボでチューニングしたボクサーV12エンジンをミッド搭載しています。強烈な印象の外観はヴィットーリオ・シュトロゼック(シュトロゼッ ク・デザインの創始者)の手になり、テスタロッサ最大の特徴であるサイド・インテークへのスリットを全撤去し、リトラクタブル・ヘッドライトを固定式に換 え、極太タイヤを履かせるためにボディを広げ、F40を想起させる大型リア・スポイラーを装着しています。1992年の最終型ケーニッヒ・エヴォルーションは最高出力1000psを発揮し、当時の公道スーパースポーツでは最強を誇りました。このモデルカーは香港のデイヴィス&ジョヴァンニ作です。既存製品に満足できず自らメーカーを興し、業界でも最高レベルの正確さと素晴らしい品質の作品を生み出しています。
〔学院長の補足メモ〕
当ページで紹介したD&G(デイヴィス&ジョヴァンニ)社のケーニッヒ・コンペティション作品は、アイドロンやBBRと並び、同車種の最高品質三傑です。現行流通していない過去の作品を探すのは大変ですが、もしD&G社のこのような旧作を見かけたら、アイドロンやBBRより少し高額ですが、思い切ってご購入されておくことをお勧めします。
ちなみに、ベース車のテスタロッサに関するエピソードは第4章「知的感性」の補足メモに、BBRケーニッヒ・テスタロッサとのエピソードは第4章・第4節「収集の継続性」に、一連のケーニッヒ作品については第6章・第1節・第4項「ケーニッヒ・フェラーリ」に紹介しています。併せてご覧ください。
当サイト各ページで紹介している作品はいずれも素晴らしい品質ですが、写真がイマイチですよね。カメラは当時上級一眼デジカメのニコンD800(アクトランドの備品)です。撮影に際しては車体に景色が映り込まないよう囲いをし、どの作品も角度を同じにして撮影しました。ただ、撮影に費やせる時間の関係で照明には特別な措置を施すに至らず、どうしても後処理が必要な品質となってしまいました。
アクトランド創設時に支配人だった私は、事業の特性からデザイン系の社員に4名を採用しており、そういった作業の体制は万全でした。しかし、当サイト制作はアクトランド出向解除後に元企業の東京本社に勤務しながら個人プロジェクトとして行ったため、彼らに負担はかけられず、画像処理は私自身が行いました。といってもフォトショップなど専門ソフトを使う訳ではなく、PCにデフォルトの画像調整機能やペイントで画像配置を調整したくらいです。もう6年も前の事です。
そのため、今自分で見ても何じゃこりゃという品質です。写真の元データはそのまま保管してますので、機が熟せば専門家に再処理をお願いしようと思っています。トップページにも記しましたが、将来は『モデルカー・アーカイヴス』を制作したいため、東京駐在中に専用の設計ブースをプロと一緒に設計済みです。その実現を果たし、改めて数々の素晴らしいモデルカーをプロフェッショナルとして再撮影&画像処理するのが最善策です。ただ、それはまだずっとずっと先の話になりそうです。 なかなか夢は尽きません。
2020年3月某日