第3章 / 第2節 造形美 Styling

モデルカーの真骨頂は、実車スタイリングの縮小再現です。外観の持つ造形美を、俯瞰できる大きさの1/43で表現する訳です。基本的なプロポーションはエンジンの搭載位置によって大きく影響を受けますが、架装されるボディは時代の要請や社会の情勢、ブランドの戦略やデザイナーの発想などによって、個性的で魅力的なスタイリングの宝庫です。

 

第2節では、豊富なスタイリングを便宜上6種類に仕分けし、時代とブランドの垣根を越えて、実例を挙げながらそれぞれの個性や魅力について説明します。

 

スタイリングの呼称は、一般的なモノと私が勝手に命名したモノが混在しています。

 

   3-2-1.  箱形スタイル  Box Shape

   3-2-2.  流線形スタイル  Streamlined Shape

   3-2-3.  扁平形スタイル  Flat Shape

   3-2-4.  楔形スタイル  Wedge Shape

   3-2-5.  弾丸形スタイル  Bullet Shape

   3-2-6.  球形スタイル  Sphere Shape

 



Artwork   Ferrari 458 Italia GT3 2011

作品紹介 フェラーリ 458 イタリア GT3 2011年

1/43 BBR Ferrari 458 Italia GT3 2011  フェラーリ 458 イタリア GT3 2011年

Description
458 Italia was introduced as the latest successor in 2009 of the first V8 mid-engined Ferrari road car 308GTB. Its GT3-spec racing car is 458 Italia GT3 that was co-developed by Michelotto Automobili. Styling of the car is smoother than 458 GT2 and more emotional than normal 458. There are so many racing version of GT3 available in 1/43 model cars, but this all red plain body version is limited to 20 worldwide. This is the last piece of 20/20.

 

作品解説
308GTB(1975年)に始まるフェラーリV8ミッド・エンジン車の直系シリーズとして、458イタリア(ロードカー)は2009年にデビューしました。そのGT3は、ミケロット・オートモビリと共同開発した、FIAなどGT3選手権仕様のレーシングカーです。スタイリングはGT2仕様よりシンプルながら458の個性をさらに引き出しています。モデルカーでは数々のレース出走車とGT3の文字入りゼッケンサークルが付いたプレゼンテーション・カーが発売されています。写真のモデルはそのプレーン・ボディ版で、世界限定20台のうち辛うじて最後の1台(シリアル番号20/20)です。






〔学院長の補足メモ〕

458イタリアの系統車種は第2章「愉しみ方」第3節「系統別」で説明していますが、チャレンジやGT2、GT3などは、原則的にGTレース仕様ですので、実際に出走したチームのカラーリングやゼッケン、スポンサーロゴを付けたモデルカーとして発売されます。同一車種から数多くのバリエーション、つまり数多くの派生商品を生み出せるため、昔からあらゆるモデルカー・メーカーが好む戦術です。

 

実際に出走する前に、レースカーとして顧客の各チームに向けプレゼンテーションを行います。実車の発表会ですね。その際に、ナンバーの無いブランクの白いゼッケン・サークルを付けた車両がお披露目されることがあります。私のようなプレーンボディ大好きコレクターからすれば、何でわざわざ番号の無い白丸デカールを貼り付けて美しいボディを台無しにしちゃうの⁉と、遣る方ない思いに駆られてしまいます。

 

当ページで紹介した458イタリアGT3もその方式に該当し、通常商品として発売されたモデルカーには白地に3のゼッケンサークルが付いていました。半ば購入を諦めていた時に、偶然ネットで20台限定のゼッケン無しプレーンボディ版を見つけ、速攻で問合わせたら最後の1台(シリアル番号20/20)が辛うじて入手できたという印象深い作品です。もちろん世界で限定20台ですから、世界中のあらゆる専門店に問合わせれば、もっと若いシリアル番号の個体が残っていたかもしれません。でもこういう限定品は、人気アーティストのコンサート・チケット並みに、情報が解禁されてほんの数時間(長くとも数日)で予約完売してしまうものです。

 

元々このGT3の地味でシンプルな造形には魅力を感じており、そこにプレーンボディの奇跡が重なったものだから、私もついつい調子に乗って、1/18スケールで同様のプレーンボディ限定モデルを購入しちゃいました。こうやってコレクションの制限ルールが崩れていくんです。また一歩、地獄に近づいていきます。

2020年3月某日