第2章 愉しみ方 Approach

モデルカーは1台1台にドラマがあり、その造形美は単体でも十分鑑賞に値しますが、コレクターズ・アイテムとして「収集」という名の魔法をかければ、愉しみ方は深く広く無限に発展します。

 

第2章では収集の醍醐味を、代表的な5つの切り口から紐解いていきます。

 




Artwork   Lamborghini Miura P400 1966
作品紹介 ランボルギーニ・ミウラ P400 1966年
1/43 Le Phoenix AMR Lamborghini Miura P400 1966 ル・フェニックス ランボルギーニ・ミウラ P400 1966年

Description
Miura is the Lamborghini's first mid-engined car named after the famous bullring owned by a friend of Ferruccio Lamborghini. Since then, names related to bullfighting have been often used for Lamborghini marques. In 1965 the only chassis appeared at Turin show and the sleek body designed by Marcello Gandini was presented as Miura P400 at 1966 Geneva show. One of developing members Bob Wallace produced the racing version Miura " J " and its replicas are known as Jota. The model car is a white metal factory built by Le Phoenix of Andre Marie Ruf established after AMR.   

 

作品解説
創始者フェルッチオ・ランボルギーニは、初のミッド・エンジン車に友人が経営する有名な闘牛場「ミウラ」の名を冠しました。これが闘牛にまつわる車名の始まりです。命名前の1965年にエンジン付シャーシTP400がトリノショーで先行発表され、翌66年のジュネーブショーでマルチェロ・ガンディーニ作の流麗なボディを架装したミウラP400がお披露目されました。彼の出世作であると共に、ランボルギーニの知名度も高まりました。レーシングカーのようなレイアウトから、開発メンバーのボブ・ウォレスはレーシング仕様のイオタ(J)を独自開発し、全損事故後は数種のレプリカが誕生しています。写真のモデルカーは、旧・AMRの後にアンドレ・マリー・ルフが携わったル・フェニックスのホワイトメタルファクトリービルト・モデルです。





〔学院長の補足メモ〕

私がロンドン在住だった90年代前半、レジン製キットやファクトリービルトの精密モデルカーは、『Four Small Wheels』という模型情報誌を年10回発行しているグランプリ・モデルズからよく購入していました。当時はインターネットが普及しておらず、作品の情報はメーカー発行の製品カタログか出版社や専門ショップが発行する紙媒体の刊行物に限られていました。

 

グランプリ・モデルズには、ロンドンからブリティッシュ・レイルに乗って2度ほど訪問したことがあります。ちょうどその頃、ル・フェニックス製のミウラが発売されました。今でもその光景を覚えています。ショップの商品陳列室は2階にあり、部屋の奥の方で完成品(ファクトリービルト)を注文したいと相談しました。すると「高すぎる」と言下に否定され、「キットを我々が組立てた方が安くつくよ」と勧められました。

 

ル・フェニックスは師匠AMRのビジネス手法を踏襲しており、キットを主とし完成品を数量限定で販売する様式でした。私は「なるほど!そういう手法があるのか」とプロの提案に従い、キットを2台注文しました。結局、グランプリ・モデルズに組立ててもらう機会を得ぬまま、日本に帰国した後にインターネット・オークションでファクトリービルト作品を入手し、現在に至っています。

 

グランプリ・モデルズは昔自社ブランドのホワイトメタル製キットを発売しており、AMRやル・フェニックスと同じメーカー側の立ち位置だったのでしょう。だからファクトリービルトであることの品質保証を気に留めず、自分達のキット組立てサービスを勧めたのだと思います。当時はまだキット全盛の時代でしたから、ショップお抱えのプロモデラー達が沢山居たのでしょうね。直接間接を問わず、腕利きのプロモデラーと縁をつないでおくことは重要です。

 

ちなみに写真のミウラ、タイヤのゴムパーツが劣化しています。白くなっていますよね。窓のクリアパーツやタイヤのゴムパーツ、ゼッケンなどのデカール、ワイパーやアンテナやサイドミラーなど小さな突起部品は劣化・破損しやすい部位ですので、然るべき時期にメンテナンスをする必要があります。

2020年3月某日