大体パーツが整形できたら、ボディ・シャーシとインパネ・シートといった内装パーツを仮組みします。当然ながら仮組みで接着はしませんが、パーツ同士が上手く固定できない時は、ほんの少しの接着剤を針の先などに付けてパーツに塗り、固定します。
更にホイールにタイヤを組み付け、シャフトも大まかに長さを合わせてカットします。シャフトとホイールを仮組みしてみて、次の項目をチェックします。
車高そのものに高すぎ・低すぎが無いか、車が前後左右に傾きすぎていないか、4輪がちゃんと接地するか、フェンダーとの隙間、ホイール・アーチとタイヤのクリアランスなどは、完成後の見栄えに大きく影響します。広すぎや狭すぎが無いかチェックします。
車高の見た目やフェンダーとの隙間は実車の写真などを参考にします。実車でも微妙に前下がりやその逆など、色々ありますので、自分のイメージに合うようにします。調整はボディやシャーシの穴を削ったり、パテを盛ったりして調整します。
1/43キット製作の大きなポイントの一つは、この仮組みという行程です。プラキットのようなパーツの精度が出ていないため、塗装工程に移る前にほぼ全てのパーツを仮組みしてみて、パーツ同士の合いや隙間、位置などを修正します。
この工程をいい加減にしてしまうと塗装後にパーツがはまらなくなったり、修正する為に塗装をやり直したりする羽目になってしまいます。 しっかり時間をかけて作業しましょう。
サイド・ウィンドゥ下側には型の合わせ目があって段差が大きいので、こういうところもパテ埋めして整形しておきます。
今回は仮組みをするにあたって、フロア・パーツの後半部分、リヤのシャフトが通るところを切り離し、先にボディに接着しました。
これで前後のシャフトをボディ・パーツに固定できますので、仮組みや最終の組立てがやりやすくなります。
大きなパーツの切り離しには糸鋸などを使うと良いでしょう。
車高の確認をしています。
今回のケースではタイヤがフェンダーの内側に干渉してしまいました。
このような場合はホイール・シャフトの位置を少し下げればよいので、ボディー・パーツのシャフトが通るミゾにパテを盛り、少しずつ削って調整します。
仮組みの時点で、シャーシまたはボディに台座固定用の穴を開けておきます。小さなナットをシャーシに接着してボルトで固定しても良いですし、やりにくい場合はタッピングビスを使用しても良いでしょう。
タッピングビスを使用する場合は、あまりネジ穴をきつくするとボディが割れてしまう場合がありますので、きつくなりすぎないように穴の大きさを調整します。
今回はメタルのシャーシ・プレートをタッピングビス4本で取付け、台座固定用にレジンのボディに2箇所タッピングビスの穴を空けておきました。
ドア・パネルやエンジン・フードといった部位には、スジ彫りと呼ばれる細い溝が入っています。キットのままでも特に問題無いものもありますが、殆どのキットの場合、塗装をすると埋まってしまったり、見え難くなってしまったりします。塗装後でもスジ彫りがシャープに仕上がっていますとモデルが引き締まって見えますので、深く掘り直しておきましょう。
専用工具が模型メーカーなどから発売されていますが、 これ以外でも作業は可能です。例えば使わなくなった細工ヤスリを加工して工具を作ることも出来ますし、裁縫用の縫い針をピンバイスに取り付けることでも代用は可能です。要は、なるべく細く深く掘ることができれば良いのです。
スポイラーなどのパーツも整形し、仮組みしてみます。
取付け状態を確認すると同時に、組立て順序も確認しておきます。
グリルなどのパーツも仮組みしてみますが、この時重要なのはほんの少し隙間を確保しておくことです。
これは全てのパーツに当てはまることですが、この時点でピッタリの状態だと塗装後にはまらなくなってしまうためです。
写真のようなパーツの場合、穴の中でパーツが少し動くくらい隙間をとっておきます。
エッチング・パーツの切り離しには前述のハサミを使っても良いですし、写真のようにカッター・ナイフを押し付けて切り離すことも出来ます。
カッター・ナイフの刃は、常に切れ味の良い状態にしておきましょう。
スジ彫りを掘り直しています。
写真ではフード先端の向かって左半分が掘り直した部分です。違いがわかるでしょうか。
このダクトのように凹んだ角の部分は塗料が溜まりやすいので、この時点で少しスジを入れておくと塗装後もシャープに仕上がります。
ハコ車製作における大きなポイントは、ウィンドゥの取り付けです。いかに透明度を高く、かつピタリと取付けるかによって、完成度が大きく左右されます。
1/43キットのウィンドゥ・パーツは塩ビ板を加熱加工して成型したもの(バキューム・パーツ)と、ただの平板のものとがあります。バキュームのウィンドゥはボディの形状に合うように整形されていますので、比較的合わせやすいですが、やや透明度が低くなります。
これに比べ平板のものは透明度が非常に高い反面、2次元の平板を3次曲面のボディに貼付けるのですから、曲げながら取付けることになり、難易度が高くなります。
バキューム・ウィンドゥでもボディの外側から取付けるものと、内側から取付けるものがありますが、基本的に作業内容は同じです。まずはハサミで大まかに切り出し、ボディに組付けてみます。
このときに隙間が大きすぎてガバガバな場合は、ボディにパテを盛って修正します。
通常はキツキツではまらない場合が殆どですので、ボディのバリが原因の場合はバリを修正し、ボディに問題が無い場合はここから少しずつウィンドゥ・パーツをペーパーで削って調整します。このときパーツにキズを付けてしまうことがありますので、全体にマスキング・テープなどを貼っておくと良いでしょう。
もし、パーツそのものが捻っていたりして、変形している場合はお湯に漬ける等して修正しますが、決して熱湯の中に放り込んだりしないようにします。あまり熱を加えすぎるとフニャフニャになって二度と使い物にならなくなってしまいます。
非常に根気のいる作業ですが、最終的にはウィンドゥの穴に対してほんの少し小さめにしておきます。これは塗装の厚みを計算に入れておくためです。どのくらい小さめにすれば良いかについては、塗装の厚みによって変化します。
ボディ・カラーがメタリックでクリア・コートをする場合などは結構塗膜が厚くなりますので、0.5mm程度は見込んでおいた方が良いと思われますが、一言でこれだけ、とは言えないものでもありますので、ここはまず実際にやってみて、ノウハウを蓄積するのが良いでしょう。
今回のキットはバック・ウィンドゥがバキューム・パーツ、その他のウィンドゥが平板式となっています。
平板式ウィンドゥの組み立てについては後述しますので、まずはバキュームのバック・ウィンドゥを仮組みしておきます。
キットにはこのような状態で用意されています。
少し解りにくい写真ですが、パーツの状態から切り出して、ボディ内側から当てがっています。
ルーフ内側は少し大きめに切り出しておき、接着時の接着シロにしようと思います。合いは良好ですね。